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ホットプレスとは?
種類と特徴を解説

 

概要

ホットプレスとは、対象製品に圧力と熱をかけ、接合や焼結、成形などを行う装置です。

ホットプレス設備は接合型や焼結型など様々な仕様があり、用途によって設備を選定する必要があります。

そこで本記事では、さまざまな接合や焼結に欠かせない、ホットプレスの設備の違いや特徴、活用事例について解説いたします。

ホットプレスとは

当社が保有している装置は真空ホットプレス設備で、金属/セラミックスのブロックや板、粉末などを真空中で加熱し、油圧プレスで圧力をかけ、接合や粉末焼結を行うことができます

単に圧力をかけて常温でプレスを行う場合、圧をかけられた材料が元に戻ろうとする力が働くため、強度の高い金属材料などを加工できません。しかし、ホットプレスは、材料の融点を越えない程度の高温を与えて材料や造形品を柔らかくするため、常温のプレスでは成形・加工できない金属も密着し接合することができます。 また、熱した金属材料が冷却される際に焼きが入り、金属部品の強度向上を実現できる点も魅力です。

ホットプレスには、一つの軸、で均一に圧力をかける単軸型と、多数の軸で圧力をかけられる多軸型が存在します。 機能そのものは同じですが、多軸型は作業面積が広くなるため、より大きな材料や複数の材料を処理することが可能です。

また、ホットプレスと似た技術として、当社ではHIP(Hot Isostatic Pressing)も提供しています。HIPは、主に軸の一方方向からの加圧を行うホットプレスとは異なり、ガス圧を使うことで全方向から均一に加圧できる装置です。 ホットプレスは軸の先端に設けられたパンチと呼ばれるブロック状のもので挟み込んで加圧するため、厚みの少ないシート状の材料の接合に向いていますが、HIPは加工したい部品をカプセルと呼ばれる金属で包んでガス圧で全方向から加圧するため、立体的で複雑な形状の部品も接合できるというメリットがあります。

製品の加熱・加圧による成形加工を検討する際は、目的に応じてホットプレスとHIPどちらがコスト面や機能面で適しているのか、十分に比較することが重要です。

ホットプレスとは
ホットプレスとは

ホットプレスの種類

当社が保有するホットプレスには、480℃から1,200℃程度の高温と圧力で材料を密着させる接合用ホットプレスと、接合用よりもさらに高い温度、2,000℃程度の加熱と加圧が可能な焼結用ホットプレスの2種類が存在します。

どちらも同じホットプレスですが、高融点金属やセラミックスなどは接合用ホットプレスで材料を焼結できないものもあるため、両者の違いを知っておきましょう。

01. 接合用ホットプレス

接合用ホットプレスは、金属材料を高温・高圧で密着させる装置です。金属材料同士の分子的な結合を促進し、強力な接合を実現します。 また、異種金属の接合も可能で、熱交換器やヒートシンク、金型の接合や放熱板のろう付など幅広い要望への対応ができます。

単軸型のホットプレスは比較的小さなサイズとなっているため、大型材料の加工を行う場合は多軸型ホットプレスを選定する必要があります。

接合用ホットプレス

02. 焼結用ホットプレス

焼結用ホットプレスは、接合用ホットプレスでは加工できない材料を接合・焼結できる装置です。基本的な構造は接合用ホットプレスと同じですが、使用温度が高いことが特徴です。設備にもよりますが、高融点金属やセラミックスの焼結にも対応できるよう、2,000℃程度の加熱ができる設計になっています。

ホットプレスでの焼結とは、粉末状の金属やセラミックス及びそれらを固めた圧粉体を融点以下で加熱・加圧することによって、粒子の結合を進め、緻密化させる作業のことです。 粉末化した金属は溶かした金属より成形の自由度が高いため、接合用ホットプレスでは扱えない高融点金属の加工、鋳造では製造の困難な金属の焼結が可能です。

ホットプレスで実現可能なこと

ホットプレスを利用すると、以下のような加工が可能です。

・粉体の焼結
・同種・異種材料の拡散接合

ホットプレスは熱処理の一種であるため、焼き入れによる金属の強度向上や狙った性質の獲得も可能です。
また、同種または異なる材料の接合にも対応しています。

粉体の焼結

粉体の焼結とは、粉末状にした金属をカーボンなどの型に入れ、高温で加熱し、加圧することで、高い密度を持つ製品に焼き固める作業のことです。

粉末にできる金属であれば、強度が高く塊では加工の難しい材料や、融点の高い材料でも焼結できます。 また、金属の粉末とワックス等を加えて圧縮し、成形した圧粉体で焼結を行うことも可能です。

粉体の焼結

同種・異種材料の拡散接合

拡散接合とは、異なる金属材料を融解させないように加熱・加圧し、結合させる金属加工のことです。加熱と加圧によって接合面の酸化被膜が破壊され、金属の表面が完全に結合するため、非常に高い強度で同種または異種金属を接合できます。

接合素材の組み合わせや接合面、その他条件にもよりますが、ホットプレスで拡散接合した金属の強度は、母材と同等以上となります。接合面にろう材や接着剤等が存在しないことから、接合面の劣化や母材への侵食などを心配する必要がない点も強みです。 ろう付や溶接の難しい材料を接合したい場合、または大面積の接合をしたい場合に役立ちます。

接合用ホットプレス・焼結用ホットプレス・HIPのすべてで拡散接合可能ですが、パンチの一つの面で圧力をかけるホットプレスでは、3次元的な接合面を持つ同種・異種材料の拡散接合には対応できません。そのため、3次元的な形状の同種・異種材料を接合する場合、HIPを利用する必要があります。

まとめ

ホットプレス処理やHIP処理は、同種・異種金属の拡散接合や焼結、加熱・加圧による金属の高密度化を実現できる金属加工技術です。

金属技研はホットプレス・HIPを合わせて国内外に30台以上保有しており、創業1960年から培ってきた技術力、厳格な品質管理と一社一貫制作によって、お客様のニーズに合致する解決策を提供しています。

金属部品の課題解決や試作、軽量化、強度の向上にご興味がある場合は、ぜひ一度、こちらの下記ボタンのお問い合わせフォームよりご連絡ください。

適用分野・適用材料

適用分野 航空・宇宙、半導体製造装置、電子材料、エネルギー機器、加速器機器、自動車関連、医療機器、電子機器、精密機器、化学機器関連など。
適用材料 電子材料、磁性材料、高融点材料、耐熱材料、耐食材料、超硬合金、ステンレス鋼、チタン合金、アルミ合金、銅合金、鉄合金、セラミックス、非晶質材、樹脂など。また、母材とのライニングにより、組合せは多岐にわたります。

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