製品概要
理化学研究所にて実施している「短寿命不安定核内部構造を解き明かす研究」の心臓部となるSCRIT電極の最新バージョンを弊社にて設計から製作まで一貫をして担当しました。
SCRITとは、Self-Confining RI Ion Target (自己閉じ込め型RIイオン標的)の略称です。
可能な限り細い金属線を用いて、複雑な鳥かごのような内側円筒と軸方向に平行に並んだ金属線のみの外側円筒による2重の円筒構造をもち、それぞれが電気的に絶縁され、異なる電位が印加できるようになっています。
製作技術
本製品は、全長約830mm、細い金属線(ステンレス鋼線のΦ0.2)を用いて、抵抗溶接などを活用して組み立てました。
完成形状での自重による変形、固有振動数などをFEM解析にて確認しながら、また製作の可否を部分モデルにて何度も確認しながら最終構造を決定しました。
また、自重による変形量を最小限にとどめるため、厳しい寸法の制約がある中で、外側円筒の金属線をバネにて1本ずつ引っ張る機構を両端面に取り付けました。このバネの設計、製作、熱処理まで社内で実施しました。
また本製品は、電子加速器の中に取り付けられるため、真空を悪化させないように清浄な状態をキープするように心がけて製作をしました。