技術開発本部では、大学共同利用機関法人自然科学研究機構 核融合科学研究所(以下NIFS)へ多価イオン生成装置の重要な部分である高温超伝導マグネット部を完成させ、3月に納入しました。この高温超伝導マグネット部は、2025年度以降、極高真空の容器内に設置され、電子銃部とコレクター部を製作し、これに接続することによって、多価イオン生成装置の全体が完成します。
今回の高温超伝導マグネット部は、株式会社フジクラ製のREBCO導体を用いたコイルをNIFSから提供していただき、当社にてNIFSの要求仕様を満足するマグネットに仕上げました。このマグネットは、小型で高い磁場(目標5T)を発生できるようにいくつかの技術的な工夫がなされています。例えば、クライオヘッドからの間接冷却でREBCO導体を冷却でき、超伝導を実現できるような熱設計を行い、構造強度の確認も実施しました。
将来、この装置が完成した際には、ここで生成される多価イオンは、基礎物理の研究に活用されることはもちろんですが、EUV光を発生させ、半導体リソグラフィーにも応用できる可能性があるとのことです。また、高温超伝導技術の応用などの多くの研究にも活用されることでしょう。

円筒形状の50Kの熱シールドの端部を開放し、内部を見えるようにした状態。
REBCO導体製のコイルが2つ、内蔵されていて、その中心にイオンがトラップされる計画です。

MTCのメンバーとNIFSの坂上先生との共同作業で、高温超伝導マグネット部を完成させた時に撮影した写真です。
(NIFSの開発実験棟にて)