製品概要
日本の素粒子物理学実験を牽引する巨大加速器であるSuperKEKBにて使用される複雑な構造を持った真空チェンバーです。
この加速器は電子と陽電子の衝突型加速器で、電子と陽電子が正面衝突する最も大切な部分に本製品は据え付けられます。
本製品の中心部は衝突により発生した新たな粒子が透過しやすいように物質量の小さい薄肉のベリリウムを使用しており、冷却のため二重構造とし、その間に冷媒が流されます。
両端部には他の場所から飛んでくるノイズとしての粒子などが検出器に入らないように物質量の大きいタンタルを使用してノイズをシールドしています。
電子と陽電子は浅い角度で交差していますので、この2つの軌道を通すために両側が二股構造になっています。
製作技術
製品は、全長約1000mm、衝突点部は約200mmでΦ20mm、板厚1mm以下のベリリウム二重管となっています。製作には、薄肉管のベリリウムとチタンのろう付、タンタルの加工、チタンとタンタルのHIP接合、電子ビーム溶接など、様々な材料と様々な接合手段を駆使しています。