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Non Destructive Inspection

非破壊検査とは?
種類やメリット・デメリットを解説

 

非破壊検査概要

非破壊検査(NDI:Non Destructive Inspection、NDT:Non Destructive Testing)とは、材料や製品、構造物などに、きずをつけたり破壊したりせずに、きずの存在・位置・大きさ・状態などを確認する技術です。
また寸法や機能を変えることなく、きずを調べる方法であり製品・構造物などの健全性を確認し、信頼性を向上させることが大きな目的です。

実は、私たちは、気が付かないうちに非破壊検査を行っています。
身近な例として、スイカを軽く叩いて反響音の違いから成熟度を確かめたり、野菜や果物を手に取り色や形を見て、鮮度や外観を確認したりしているのは、非破壊検査の一種です。

このページでは、非破壊検査の種類や、メリット・デメリットなどをご紹介いたします。

非破壊検査の種類

非破壊検査は、表層部のきずを対象とする検査と、内部のきずを対象とする検査の2つに大別されます。
それぞれの代表的な検査方法には、以下のようなものがあります。

浸透探傷検査

浸透探傷検査(PT:Penetrant Testing)とは、表面検査の一つで、被検査物表面の開口きずに液体(黄緑色の蛍光浸透液または赤色の染色浸透液)を浸透させ、毛細管現象を利用して液体を表面に吸出すことで、肉眼で検出することが難しい被検査物表面のきずを肉眼で知覚できる状態にする検査方法です。金属や非金属など、ほとんどすべての材料に適用できます。

浸透探傷検査の特徴

  • 方向に関係なく表面開口きずを検出できる。
  • 金属・非金属材料でも適用できる。
  • 木材や陶器のような微細な空孔が多い多孔質材料は不向き。
浸透探傷検査

磁粉探傷検査

磁粉探傷検査(MT:Magnetic Particle Testing)とは、表面検査の一つです。強磁性体を磁化し内部に磁束を発生させることで、きずがある部分は磁束がさえぎられ、空間へ磁束が漏えいします。磁束が漏洩するところは磁石となり、磁粉粒子を塗布すると磁粉がきず部に吸着して、きず模様を形成し知覚できるようにする検査です。

主に磁性材料(鉄、コバルト、ニッケルなど)の表面や、その近傍の欠陥を検出するために使用されます。表面から約2~3mm程度の深さにある欠陥も検出可能で、複雑な形状の部位でも検出可能な検査方法です。

磁粉探傷検査の特徴

  • 強磁性体(磁石につく材料)のみに適用できる。
  • 表面または表面直下のきずを検出できる。
  • きずの深さ寸法は求めることができない。
磁粉探傷検査

渦流探傷検査

渦流探傷検査(ET:Eddy Current Testing)とは、表面検査の一つで、導体に交流電流を通じたコイルにより発生する渦電流の変化を利用して、探傷や膜厚測定を行う検査方法です。

主に導電性を有する材料の表面や表面近傍の欠陥を検出するために使用され、被検査物との間に媒体を必要としないため、非接触で行えます。

渦流探傷検査の特徴

  • 磁性、非磁性に関係なく導電材料に適用できる。
  • 非接触のため、高速で検査が可能。
  • 複雑な形状には適さない。

放射線透過検査

放射線透過検査(RT:Radiographic Testing)とは、内部検査の一つで、物質を透過する能力の高い放射線(X線、γ線)を使用し、被検査物を透過した放射線の強さによってX線フイルム、イメージングプレート(IP)に生ずる濃度差により、きずの像を検出する検査です。

現在はX線フイルムに代わり、高感度高鮮鋭度のイメージングプレート(IP)が普及しています。IPは、X線フイルムと比較して感度が高いため、短時間で撮影することができます。

放射線透過検査の特徴

  • 放射線の進行方向に平行で奥行きのある内部きず(球状きず)を検出しやすい。
  • 金属・非金属材料に適用できる。
  • 放射線を取り扱うことから安全管理が必要。
放射線透過検査

超音波探傷検査

超音波探傷検査(UT:Ultrasonic Testing)とは、内部検査の一つで、被検査物の内部へ超音波を伝播させ、異なる物体または空隙との境界で反射する性質を利用し、きずの位置と大きさを測定する検査です。

超音波探傷検査の特徴

  • 超音波の進行方向に直角で広がりのあるきず(平面状のきず)が検出しやすい。
  • 金属・非金属材料に適用できる。
  • 粗粒材(鋳造品など)は適用困難。
超音波探傷検査

これらの検査方法の中から、検査対象物についてどのような情報を知りたいのかを明確にした上で、適切な結果を得られるように一つの手法あるいは複数の手法を組み合わせて適用し、検出をより確実にします。

たとえば、表面または表層部きずの検出を目的とするのであれば「浸透探傷検査」と「磁粉探傷検査」、「過流探傷検査」、内部構造や内部きずの検出を目的とする場合は「放射線透過検査」と「超音波探傷検査」のように、検査方法を選定します。

非破壊検査が使用される分野には、自動車、船舶、航空機、宇宙産業機器、原子力圧力容器、ボイラ、パイプラインなどがあり、機器・構造物の安全性や信頼性を確保するために利用されています。

非破壊検査のメリット・デメリット

非破壊検査には、メリットやデメリットもあるため、これらを十分に把握した上で活用する必要があります。

非破壊検査のメリット

まずは、非破壊検査のメリットをご紹介いたします。
非破壊検査のメリットは、主に次の3点です。

製造技術の改良

一定の品質の製品を製作する場合、これから適用する工程内容(加工、溶接など)が適切であるかを確認するため、試作品に対し非破壊検査を行い、安定した品質が得られるように適用工程の条件を改良しながら確立することができます。

安全性の向上

定期検査、保守検査および供用期間中検査で行う非破壊検査では、新たに発生したきずを評価することで次回検査までのきずの進展度合いを予測し、あるいは補修を行うことで未然に設備の停止や事故発生リスクを低減できます。

コストの低減

製造工程の初期・中間工程検査として非破壊検査を行うことで、早期に不良品を発見し排除したり補修をすることで、不良品を次工程へ進めることを防止し、全体的に工数の削減、経費の節約となり、生産コスト低減を図ることができます。

それぞれの非破壊検査手法には向き不向きがあるため、目的に応じて検査方法を組み合わせて使用することが必要です。

非破壊検査のデメリット

一方、非破壊検査のデメリットは、下記の3点です。

検査従事者の育成に時間がかかる

非破壊検査は、製品・構造物が使用中に破損し人命に影響を与えることを未然に防止するための検査手段です。

そのため、検査従事者の指名は重く、規格では検査手法ごとに作業実績、トレーニング時間、および試験の要求が厳格に定められていることから、一定の技量レベルに到達するまでに時間を要します。

初期投資が高額になることがある

非破壊検査の初期投資費用は、使用する検査方法、装置、および対象物によって高額になることがあります。

定置型設備を使用しない浸透探傷検査(溶剤除去性染色浸透探傷検査)や磁粉探傷検査(極間法)は比較的低コストで導入可能な場合が多いですが、放射線透過検査や超音波探傷検査の装置は高額となります。

高度な機能や精度を求める場合、それに応じて装置のコストも高くなります。

検査時間がかかることがある

非破壊検査では、検査方法や対象物の大きさ、形状、検査の目的によっては、検査時間がかかることがあります。

たとえば、放射線透過検査や超音波探傷検査では、機器のセッティングや条件の設定、放射線透過検査で内部構造を確認する場合、多角的な検査が必要なため、それに伴って時間がかかる場合があります。

高い精度を求められる検査や微小なサイズの欠陥を検査する場合は、慎重な検査が行わるため、時間がかかる場合があります。

まとめ

非破壊検査は、製品や構造物の品質を確認するために非常に重要な検査手法で、製品の品質向上、安全性の確保、コスト削減など多くのメリットがあります。デメリットも存在しますが、長期的にはその初期投資を上回る価値があるといえるでしょう。

導入を考える際には、製品の種類や材料、コストと効果、そして専門的な教育とトレーニングなど、多くの要素を総合的に考慮する必要があります。特に中小企業の製造部門での導入を検討する場合、これらの要素は非常に重要になるでしょう。

金属技研では、英国BINDT資格を持つ経験豊富なNDT Level3検査員が各種公知規格の評価・維持管理を行い、製品に最適な手法の提案から製品試験、合否判定まで担当しております。

FAAやEASAなどの航空局認証にて培った世界最高峰の品質管理、経験を活かし、航空宇宙産業ならびに産業用部品の製造にさらなる付加価値を提供し、お客様の信頼、ご要望にお応えいたします。

「興味はあるけどコストが…」
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など、ご要望やご不明な点がございましたら、お気軽に下記よりお問い合わせください。

金属技研の非破壊検査の特徴

金属技研株式会社では、非破壊検査サービスを提供しており、「浸透探傷検査」「超音波探傷検査」「放射線透過検査」が可能です。

こんな課題はありませんか?

  • 輸送費・タクトタイムを抑制するため、製造、加工〜非破壊検査までの工程を一貫して依頼したい。
  • 積層造形品の品質を非破壊検査で確認したい。
  • 非破壊検査のみを単工程で依頼したいが、最小限のコストに抑えたい。
  • ろう付け品・拡散接合品の接合状態を非破壊検査で確認したい。
  • 航空宇宙分野の製品について、非破壊検査の公知規格に準拠した検査、管理を行っているところを探している。
  • 新製品を開発したが、非破壊検査を用いた品質確認をしたい。

金属技研では、JISQ9100認証のもと積層造形・熱処理・機械加工・溶接・寸法計測・非破壊検査などの一連の工程を実施することができます。

また米国・欧州・日本の航空局より認証された、航空機修理認定事業場に従事した豊富な経験と技術を持つ、非破壊検査従事者が在籍していますので、非破壊検査でお困りの際はぜひ、お気軽にお問い合わせください。

適用分野・適用材料

適用分野 航空・宇宙、半導体製造装置、電子材料、エネルギー機器、加速器機器、自動車関連、医療機器、電子機器、精密機器、化学機器関連など。
適用材料 電子材料、磁性材料、高融点材料、耐熱材料、耐食材料、超硬合金、ステンレス鋼、チタン合金、アルミ合金、銅合金、鉄合金、セラミックス、非晶質材、樹脂など。また、母材とのライニングにより、組合せは多岐にわたります。

積層造形から熱処理、検査まで一貫対応

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電子ビームやファイバーレーザーを用い、複雑な形状や強度の高い金属などの難しい成形を可能にします。

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