CROSSTALK OF DIRECTORS

役員クロストーク

役員クロストーク

今回集まったのは、2021年に新たに役員となった各部門を担う3名。
キャリアを重ねていく中で見えてきた、金属技研の“強み”“人”“文化” そして、変化の激しい時代における“これから”について語り合いました。
(所属部門やインタビュー内容は2022年取材当時のものです)

役員クロストーク

CROSSTALK MEMBER

則長 美穂

則長 美穂 
MIHO NORINAGA

取締役

営業本部 副本部長

経営学修了

2016年入社

鈴木 友也

鈴木 友也 
TOMOYA SUZUKI

取締役

生産本部 副本部長 兼

姫路工場 工場長

工学部 システム工学科卒

1999年入社

宇野 毅

宇野 毅 
TSUYOSHI UNO

取締役

技術開発本部 副本部長

電気工学部 電機工学科卒

1995年入社

これまでのキャリアを教えて下さい。

鈴木

大学卒業後、金属技研へ入社。茨城工場の製造課で、現在の3Dプリンター事業の立ち上げに関わり、その後、当時の2大プロジェクトの1つ「真空散乱槽」の開発に参加しました。約2年間、構造解析の熟練技術者でもある上司や溶接熟練者の方達と一緒に試行錯誤して完成させJ-PARCへ納めた後、姫路工場長として工場全体の管理を任され、現在は取締役に就任し、姫路工場長と生産本部 副本部長を兼務しています。

宇野

私は新卒で金属技研へ入社し、滋賀工場へ配属となりました。その後茨城工場で「熱核融合実験炉用ダイバータカセット」のプロジェクトに参加し、溶接構造体の製作をしていました。鈴木さんとは、1年隣同士でそれぞれのプロジェクトに取り組んでいましたね。その後茨城工場長を務め、取締役に就任し、現在は技術開発本部 副本部長を務めています。
則長 2大プロジェクトに関わって、技術開発本部の前身となるエンジニアリング部の立ち上げに貢献した2人が、同時に役員となって活躍しているというのがとても感慨深いです。
私は大学卒業後、県庁職員とコンサルティング会社を経験しました。2つの前職を通して、人と話したり、ものやサービスをPRする事が好きだと考えるようになり、コンサルでお付き合いがあった金属技研へ入社を決めました。入社後は、営業本部 副本部長として、海外顧客対応の傍ら、顧客を増やす新たな選択肢を模索していたところ、金属技研が取り組んでいなかった新たなアプローチ「ウェブマーケティング」にたどり着きました。
2020年の欧州拠点設立の準備期間は、デューデリジェンス(買収対象企業の法務・財務等リスク調査)、ビジネスプラン作り、買収交渉などの打合せ全てが、英語で行われる為、とても苦労しましたが、良い勉強になりました。その後、取締役に就任、現在に至ります。

キャリアを重ねていく中で感じる金属技研の魅力とは?

宇野

幅広い経験をさせてもらえた事に一番の魅力を感じました。ろう付、機械加工、加工プログラム作成、JT-60SAダイバータカセットの設計等、様々な人に教えていただいたことが、身になっていると実感します。自分から伸びていこうとする人は伸びるし、自分の仕事の範囲しかやらない人はそのままです。
則長 チャレンジしたければ、かなり自由にできる点は魅力です。仕事を面白くするかは完全に自分次第ですね。
鈴木 実際に色々な事に挑戦している部署や先輩がいます。失敗と反省を経て、成長していける環境があるところも良い所だと思います。
若手取締役クロストークの様子

金属技研の業界での立ち位置・強みとは?

宇野

HIP処理が強みではありますが、HIPだけでなくその他の機械加工や設計まで一貫した生産体制があることだと思います。HIP装置だけなら規模の違いはあれど、持っている企業さんはいくつもあるんですよね。

鈴木

私も宇野さんと同じ考えです。世界的に見ても当社のような生産体制がある受託加工業は珍しいのではないでしょうか。

宇野

依頼する側としては、1つの会社に任せれば全てやってくれるのはとても楽なんです。HIP以外の工程がある製品を他社に頼むとなると調整が非常に大変なので、一度金属技研にご依頼いただくと、メリットを感じてリピーターになっていただけるお客様も多いようです。

鈴木

お付き合いが長期に渡るお客様が多いです。
そもそも当社は研究成果を社会に生かしたいという理念を基に設立した企業なので、その考えを脈々と受け継いでお客様とも良い関係が続けられているのだと思います。

則長

多業界に関われるビジネスモデルも強みだと思います。1つの技術に特化してしまうと、ある業界分野に特化する受託加工会社が多いように思いますが、金属技研は取引先業界分野がバランス良く分かれているので、ある業界が不調でも大きく落ち込まない点が強みです。

鈴木

受託処理分野ごとの売上比率を見ても、HIPだけに偏っているわけではないので、その点も非常にバランスがいいのではないでしょうか。

宇野

またお客様のニーズに答え、生産能力の増強を続けてきた結果、現在では国内で最多のHIP装置を保有するまでに成長したのも強みになっています。

鈴木

HIPは高圧ガスを扱うので、参入障壁が結構高いんです。周辺設備を含め導入も大変ですし、装置があっても高品質な処理をするためには、さらに運用ノウハウが必要で撤退する企業も多いです。

宇野

決して安い装置ではないので当時の売上規模から考えても、導入を決めた幹部たちの覚悟は相当だったと思います。

則長

私が金属技研に入社を決めた理由の1つに世界最大級のHIP装置を持っていることもあったんですよね。企業規模に関わらず、何か「世界一」を持っている企業はそう無いと思いました。

鈴木

HIP処理は現在もさらにニーズをいただいていますので、今後も伸びる技術だと思います。
宇野 今後注視するのは中国の動向でしょうか。製造業が飛躍的に伸びていますので、将来競合となる企業が現れるかもしれません。
則長 確かにそうですね。ただ、金属技研にはHIPだけではない「接合」技術があるので、強みを活かしながら戦っていきたいですね。
若手取締役クロストークの様子

金属技研で活躍する人に共通していることは何でしょうか?

鈴木

金属技研で活躍している社員の共通点は、チャレンジ精神旺盛、くよくよしない、転んでも立ち上がるところでしょうか。

宇野

リスクがあることに対しても「やってみたい」と言える前向きさがありますよね。あとは、周りとも綿密に調整できる人。いくら知識があっても、周囲と情報共有や調整が出来ないと、技術者として単独で終わってしまいます。
則長 たとえ失敗したとしても、それに応じた対応はしっかりと取ったうえで、次は頑張ろうという切り替えは大事ですよね。

若手社員との関わり方で大事にしていることと、人材教育で見えてきた課題とは

則長

私はチームで成果を出すという事を重視しています。ひとりで1から10を器用にこなすよりも、それぞれ得意とする部分を極めた人が集まったら、すごく良い10になる。それが理想です。だから、私のチームでは、「各自が自分の強みを持つこと」と、「そこからさらに複数の得意を掛け合わせて成長しよう」がキーワードです。複数の得意を掛け合わせることで、より強みの幅が広くなります。例えば私の場合だと「語学×マネジメント」といったように。
また、チームとして情報共有や、他愛のないことでも気軽に話題にできるような関係性作りも大切にしています。

宇野

入社時の上司に「T字型の人間になれ。広く浅く知っておかなければいけないが、どこかに自分だけの強みを作れ」と言われたのが記憶に残っています。 そのT字がいくつもできれば柱がたくさんできる。それ以降、その方針で部下にも教えています。

則長

あとは「仕事をする」という意識を大事にしています。例えば、「求められた書類に必要事項を記入し提出する」はただの作業です。なぜそれが必要なのか理由や目的を考えることが大事。それによって、実はその書類を提出する工程が不要だったと気づいたり、内容を改善できたりします。PDCAを回していくことが重要だと思います。製造現場だといかがですか。

宇野

工場だと、マニュアルを厳守しなければいけない仕事もあります。たとえ、一見無駄に思えたり、より効率的に出来ると思えたりしても、ルール通りの行動が重要な場面や業務もあります。
鈴木 航空や医療スペックだと特にそうですね。絶対にマニュアルを守らなければいけない。
しかし、その人自身の働き方として、発想力の低下やルーチンワークになっていってしまってはいけません。特に管理職となる人は、周りとコミュニケーションをとり必要な段取りをとりつつ、新たな発想や提案をする力が必要ですね。
私の若手への教育方針として、基本的には仕事を任せるようにしています。ただ、近年は内向的で指示待ちの若手が多い印象もあり、過程でのケアやフォローをしていく重要さをより一層感じています。
則長 コミュニケーションの取り方も変化していますよね。テキストが中心となったり、コロナ禍によりリモートでの働き方が注目されたり、そういったところの世代間の考えの違いを理解する必要もありますね。
宇野 コミュニケーションとの取り方としては、年々様々なツールが発達していますが、文字だけでは伝えきれない事が多くあり、やはり基本は対面だと思っています。特に若手の教育という点では、実際に見たり話したりして出来る限り多くの情報を共有した上で指導することを意識しています。
鈴木 顔を合わせて話をした方が表情や雰囲気も分かりますしね。
若手取締役クロストークの様子

世界的ニーズの高まりで当社も半導体関連の売上が伸びています。
今後どのような展望になるでしょうか?

則長

日本は半導体材料や装置の分野では、非常に大きな強みを持っていて、金属技研はそこに関われていることから、今後も安定的な成長が見込めると考えています。ただ、何か1つの業界頼みになるのではなく、他の分野にも幅広く貢献し、ポートフォリオが組めていることが当社の最大の強みでもあります。

宇野

日本政府が海外企業と進めている半導体政策も当社に影響しています。先ほど則長さんが言ったように、日本は半導体の材料に強みがあり、その分野で大きな世界シェアを持つ企業との取引があるため、堅調に推移すると考えていますが、いかに材料関連の技術を海外に出さず、国内で留めておけるかも今後の重要な要素になると思います。
鈴木 日本が国内に世界的大手製造企業を誘致して生産増強を図ろうとしている半導体が何に使われるのかというと、主に車載用のようです。自動車に使われる半導体はどちらかと言えば最先端のものではなく、安定した性能が確立されている部類のもの。自動車は今後電動化や自動運転化で半導体の需要が見込まれることから、国も力を入れて取り組んでいます。
宇野 車の自動運転技術が確立すれば、今は9割駐車場で眠っていると言われている自動車をフル活用できるようになり、物流なども大きく変わると言われています。

地球温暖化や気候変動の影響により、脱炭素運動が加速しているエネルギー分野の動向は

宇野

個人的な予想ですが、カーボンニュートラルへシフトしていくものの、さほど急激に情勢がかわる分野ではないと思います。まだガスタービンでの発電も利用しつつ、新しい技術の開発に関わっていく流れと見込んでいます。水素エネルギーが注目されていますが、水素は石油生産している中で生成されるので、石油がなくなれば、水素をどう確保するのか?という課題も出てきます。

則長

海外オイルメジャーなどは、石油を掘ったところに火力発電で発生した二酸化炭素を地中に注入して再度石油を作る、ということを考えているようです。その他には風車で発電した電力で掘削する、という動きがあることもスウェーデン子会社の役員から聞いています。半導体ほどドラスティックに変わる分野ではないでしょうが、10年経ったら変わっていた、という流れかと思っています。

宇野

自然エネルギーは電気をどう蓄えておくか、蓄電池の問題があります。
則長 作るのはいいけど、電気を貯めておけないんですよね。
鈴木 高性能蓄電池の研究開発も進められていますが再生可能エネルギーや水素等、様々なエネルギーを活用する事で二酸化炭素排出量を削減していく事が必要となります。
宇野 近年、エネルギー分野で著しく生産量が下がっているのは石炭火力発電で、当社は幸いにもこの分野の関わりはなく影響はありません。現在当社で多くご依頼いただいているのは天然ガス火力発電関連部品の製造です。こちらは二酸化炭素排出量が石炭火力発電よりも少ないのでまだまだ活躍の余地があります。また、天然ガス火力発電設備は一部の構成部品を置き換える事により水素で発電できるよう改造出来るものも開発されていますが、水素を大量に消費することから製造・貯蔵施設等のインフラ整備も重要と言われています。
則長 あとは核融合による発電も注目されていて、国際共同研究や、最近では民間企業も参入しています。また、海外では脱炭素の観点から原子力発電が再度注目されており、国内大手重工メーカーも海外向けの受注に力を入れているようです。大型発電設備はコストも納期も掛かるのですぐには置き換わらないと思いますが、それまでに気候変動がどうなるかは気になる点です。
若手取締役クロストークの様子

コロナ禍で大きな影響を受けた航空分野および、
特に海外で民間移行が進んでいる宇宙分野はどうでしょうか?

宇野

航空業界はこれまで様々な危機があっても数年かけて回復し、その後は成長曲線に戻るという神話がありましたが、コロナ禍では今までにない状況にはなっています。

則長

カーボンニュートラルの観点からも、将来的には燃料が見直されるのでは、と思います。

宇野

宇宙分野は、衛星の打ち上げはもちろんですが、宇宙の活用・データ活用の分野が注目されています。今は打ち上げに莫大な費用がかかるので、民間に移行することでいかにコストを抑えられるかがキーになります。当社はその民間分野で関わっていますが、まだまだ時間はかかると思われます。
則長 現在の飛行機よりは高度、でも宇宙まではいかない、という領域を航行する航空機の開発が行われていて、それだと日本-アメリカが1時間で移動できるそうです。日本も関わっていて、現時点では夢に近い状態ですが、この分野の研究開発が進めば、当社も関われる可能性があるのでは、と期待しています。

金属技研の現在、課題、これから。

宇野

私は教育が課題だと思います。

鈴木

私も教育ですね。今の管理職たちに求められる能力は多岐にわたります。職種に対する技能・知識・コンプライアンス・人材育成等。私たちも全て体系だって学んできたわけではないので、今後の成長には教育体制を今の時代に合わせた内容にすることが重要だと感じています。
則長 そうですね。教育は成長の基本ですし。私はその上で、横の繋がり=社内ネットワークを構築していくことも重要になると思っています。時代の変化は速いですし、何かに挑戦する際には、上司も分からないことだって沢山あります。全社的な知見や経験を集結して対処していく必要があると考えています。
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